「第二の声」を取り戻し、持ち続ける為に |
皆さんは、声がどうやって出ているかご存知ですか。息は声ではありませんし、 音と言葉もまた違います。呼吸・声帯振動・共鳴作用の3つが重なり、言葉は声となって相手に届きます。
喉頭がん等の治療の為に喉頭全摘手術を受けた人達は、声帯をなくし、新たに「気管孔」が造られる事で、
呼吸の為に鼻や口を使わなくなり、これまでの「声」を完全に失います。
同じ会員がボランティアで指導してきた取り組みは、本年で40年目を迎えました。
「沈黙は金、雄弁は銀」(多くを喋るより黙して語らないほうが良い)という諺がありますが、私たちは
「大いに喋る銀」でありたい。
これまでと全く違う発声法を習得するまでの道のりは平坦なものではなく、練習初日から声に
つながる音(原音)を出せるようになる人もいれば、コツをつかむのに数年かかる人もいます。
医学の進歩により、喉摘者数は減少してきましたが、最近では、食道がんや嚥下障害のある人の
症例が急増しています。
高齢になってから手術を受けた方にとって、こうした発声練習は体力的にも厳しいものです。
病に打ち勝ち、生きることを選択する為に、「声」を失う手術を決断した人たちが、家族や友人、
社会から孤立することのないように、暮らしの中での充実したコミュニケーションにつながる様、
これからも発声訓練の向上を目指して取り組んでいきたいと思います。
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福祉タイムズ 平成25年12月15日発行 745号に掲載 |